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「日本株は買わないがREITは買う」外国人投資家のマネー動向


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REIT市場

(写真=Thinkstock/Getty Images)

日銀によるマイナス金利導入後、外国人投資家が日本のREIT市場にマネーを振り向けている。東証が公表した2月の部門別差引き売買統計を見ると、外国人投資家が1167億円の買越しをしていることが分かる。この買越額は、2007年2月の1399億円に次ぐ2番目の水準だ。

日銀がマイナス金利導入を発表する直前の2016年1月28日の東証REIT指数は1686.53だったが、4月8日の終値は、1905.39と218ポイントとなっており、12%の上昇となった。ここから、J-REITも株式市場同様に、外国人投資家の動向に左右されているわけだ。

外国人投資にとって日本の不動産が魅力的な理由

では、なぜ外国人投資家にとって日本の不動産市場は魅力的なのだろうか。

理由のひとつに、他のアジア諸国と比較してカントリーリスクが低く、日本の安全性や安定性が高く評価されている点が挙げられる。地震リスクはあるものの2020年のオリンピックの開催が決まるなど、インフラ整備が確実に進むこと、また戦争や騒乱がなく治安もよい。世界第3位の経済大国であり、バブル崩壊などがあっても、新興国のような大暴落になる可能性が少ない点も大きい。

総合不動産サービス会社ジョーンズ・ラング・ラサール(JLL)の調査によると、2014年の「海外投資家」による日本の不動産投資額は、アベノミクス開始前の2011年に比べて約14倍も上回っている。さらにアジア非上場不動産投資家協会(ANREV)によると、アジア太平洋地域の中で2016年に最も投資したい対象は、2年連続で東京のオフィス市場という結果が出た。複数回答だが、現に全体の56.5%の人が東京オフィス市場に投資したいと回答している。

また、少しでも高い利回りを求める、いわゆる世界の「イールドハンター」たちも日本の不動産に注目している。新発10年物長期国債のマイナス金利の常態化により、J-REITとのイールドギャップの差は魅力的に映っている。低コストで資金調達ができるなど、マイナス金利の恩恵をフルに享受しているのが、最近のREITの現状といえるだろう。

最近の円高とそれに伴う株価の下落などにより、マーケットが日銀に対して追加の金融緩和を要求する声が強まると、今後一段高になる可能性がある。このように、海外からの投資意欲が継続する限り、J-REITにとっては追い風となるだろう。

今後のREIT市場見通し

今後、REIT市場はどのように推移していくのだろうか。REITの投資口価格(株価に相当)を決定する主な要因である、オフィスの空室率と賃料について見ていこう。

オフィス仲介大手の三鬼商事(東京都中央区)が4月7日に発表した、3月末都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)のオフィスの平均募集賃料は前月比69円(0.4%)高い3.3平方メートルあたり1万7973円だった。募集賃料の上昇は27カ月連続。新築ビルを中心に需要が底堅い傾向が見られた。

また、3月末の都心5区の空室率は、4.34%となり、一般に需給均衡の目安とされる5%を8ヵ月連続で下回っている。また、2017年ごろまではオフィス供給が絞られた状況が続くので、空室率はもう少し下落する可能性がある。今後は空室率が大幅に下がることはなく、その代わりに賃料が上昇してくることが予想される。この動きは、REIT価格を押し上げる要因になっている。

REITに対する2つの懸念材料

最後に、今後の2つの懸念点について見ておこう。

ひとつ目の懸念点として、リーマンショック以降の外国人投資家の売買行動を見ると、買越しが継続していないことが挙げられる。「ファンドバブル」と呼ばれた2007年の上半期は、5月23日に東証REIT指数が最高値2606.23をつけた。この年、外国人投資家は、上半期全ての月で500億円を超える買越しをおこなっており、期間の月平均買越し額は767億円となった。

一方、黒田総裁就任後に外国人投資家が500億円を超える大幅な買越しとなった時期は、2013年4月の798億円、2014年の11月515億円と2016年2月の1167億円の計3回だが、これは日銀が金融緩和を行った時期とぴったり符合している。そしてその買越しは長くは継続せず、単月に留まっているのが現状といえる。今後も外国人投資家の買越額には注意すべきだろう。

ふたつ目の懸念点として、国内不動産業への銀行融資のミニバブル化だ。2015年の銀行による不動産融資は、バブル期を超えて26年ぶりに過去最高となった。日銀によれば、2015年の不動産業向け新規貸し出しは前年比6.1%増の10.6兆円であった。特に信用金庫の不動産業向け貸し出しは、2006年のミニバブルを上回っている。

マイナス金利の効果が出ているとはいえ、不動産業への資金融資は今後も続く可能性がある。そのことを考慮すると、現状既に不動産バブルと言われており一部で警鐘がでているにも関わらず、更にバブルを助長することになりかねない。

不動産融資は、REIT価格の決定に大きなインパクトを与える。過剰融資がマーケットの自立性をゆがめ、価格の異常高騰、そしてバブルの破裂という失敗を繰り返さないよう状況判断をしていきたい。

マネーデザイン代表取締役社長 中村伸一
学習院大学卒業後、KPMG、スタンダードチャータード銀行、日興シティグループ証券、メリルリンチ証券など外資系金融機関で勤務後、2014年独立し、FP会社を設立。不動産、生命保険、資産運用(IFA)を中心に個人、法人顧客に対し事業展開している。日本人の金融リテラシーの向上が日本経済の発展につながると信じ、マネーに関する情報を積極的に発信。

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